スマイル書房

『生存者ゼロ』 (宝島社文庫)
買い取ってやる度
★☆☆☆☆

オチはアリだけどナシ!

一冊の小説がアリかナシか。

若い時分にはアリ・ナシをめぐる冒険に出て、
友人との間にマリアナ海溝ほどに深い溝を
つくることもあった(いやないけれど)。

今なら元も子もないこの言葉を素直に口に出せる。
「そんなもん個人の好みだ」と。

ただし『生存者ゼロ』に関しては違う。
説明書のような地の文や古めかしいセリフ回しに耐え、
いろんな意味で最後まで読み切れた猛者たちは、
口をそろえて必ずこう言うだろう。
「オチはアリだったよね」と。
だが、こうも言う人が圧倒的だろう。
「いや、ナシなんだけどさ」と。

「北海道沖に浮かぶ石油採掘基地を襲ったのは、
テロ攻撃か、謎の病原期か、それとも...」
帯の文句はそそる。特に道産子には。

どんな学者も原因を究明できない病原菌が、
北海道を次々と襲い、
タイトル通り「生存者ゼロ」の町が続出。
この先どうなるんだと、
前半は次のページが待ち遠しい。前半は。

↓↓↓↓↓ココからはネタバレ↓↓↓↓↓
結局それは病原菌ではなかった。
この文章中に何度か出てくるあのアレなのだ。
勘の良い方はお気づきだろうか。

読後感たるや『ムカデ人間』に代表される、
ハイパーウルトラぶっ飛び系のB級映画を観たあとのような。
それを楽しんで味わえる人にはオススメの1冊。

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