スマイル書房

『Iターン』 (文春文庫)
買い取ってやる度
★★☆☆☆

思い出せない食堂の、思った通りの味

読後感は地方の食堂の醤油ラーメン。
なんとも普通!な一冊である。

広告代理店東京本社から北九州の支社へ
飛ばされた会社員。
ひょんなことから暴力的な言動や
人を恐怖におとしいれる表情が得意な方々と
関わることになる。

この時点で大方の人は察しがつくだろう。
そう、そう、そうそうそうそう!あなたの想像通り!
一触即発、一発逆転劇が繰り広げられ、
ままま、ハッピーにエンドしようぜ、
ってな具合で予定調和的にゴールにたどりつく。

ツマラナイわけではないけども、
面白いかと言われればそうとも言えず。
地方の食堂の醤油ラーメンみたいに、
おいしくないわけじゃないんだけど、
味は思っていた通り、みたいな。

が、本作は物語の展開やスピード感は早いから、
さっくり読めて、あっさり忘れられる。
それがいい。
重た〜い内容が一切ないから、
もう旅のお供にぴったり。

地方の食堂の醤油ラーメンって、
すぐ出てくるし、わりとあっさりしているし、
町の勝手が分からない時に便利でしょう?
「他にレストランもないし、
間違いはないだろうからラーメンいっちゃう?」
的な感じなのである。

ただ、往々にしてその食堂の場所も味も、
全く思い出せないのだけれど...。

このページの先頭へ