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スマイル書房

『競馬場で逢おう』 (宝島社)
買い取ってやる度
★★★★★

いくら外れても、負けではないのだ。

あんな人、もう世に出てこないだろうねぇ。

偉業を成し遂げた人が亡くなると
誰彼なく囁く常套句だけれど
このフレーズがドンピシャな人だわね、寺山修司。

詩人であり劇作家であり歌人であり演出家。

昭和の混沌たるカルチャーの先鋒を
鋭利な感覚でグイグイ切り拓いた表現世界の巨星。


...たる彼が記した名著が「競馬場で逢おう」。
昭和45年から死の直前まで報知新聞に連載した競馬予想エッセイだ。


いやはや面白い。
自分が競馬を嗜むからってのもあるんだろうけど
鬼才寺山修司が垣間見せる
斜に構えぶりというか、粋な堕落感みたいなのが
もうたまらんのだよね。
肝心の予想も、
寿司屋の政やミスト◎コのももちゃんとの
くだらねー会話からひねり出したり、
世相に対するシニカルな語呂合わせだったりする上に
あらゆる思考の根幹には、
一番人気などクソくらえの反体制スピリッツが渦巻くもんだから、
全然当たらない。外れまくり。スカに続くスカだ。


だが当の寺山修司はどこ吹く風。
外れようが、一番人気が来ようが、大損しようが知ったこっちゃない。
それまでの連戦敗戦を気にすることもなく
飄々と淡々と今週の馬柱を眺めるのだ。

実に潔い。実に鯔背で、実にカッチョよい。

で、オレもこうなりたい。
オイラもこんな立ち振舞がしたい。
ぜひともなんとか、自分も寺山化したいと、
ワンカップ片手に鉄火場(競馬場)に赴いたりするのだけれど。


結局は... 最終レースの前、
ポケットに突っ込んだ指先で
帰りの地下鉄の小銭をしっかり確認するあたりの

己の小市民さにただ辟易とするだけだったりするのだよね。

ロードオブテラヤマは、遠きけり   ...アーメン。

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