そもそも土俵が違った。
怪しいヤツほど犯人ではない。
これは推理モノ「あるある」
として殿堂入りしている(店主調べ)。
人は怪しくないヤツの中から犯人を予想し、
結末に向かってページをめくるのだ(店主調べ)。
そして物語のラスト。
「はい、残念。犯人は意外なア・イ・ツ。
まだまだ甘いね〜ボ・ウ・ヤ」
という作者の悪意(被害妄想)にふれることで、
「こんちきしょう!てやんでぇ!」と
別の作品を手に取る情熱がわくってもの。
『償い』は元医師でホームレスの主人公が、
ある町の連続殺人事件に関わり、
すったもんだの末に犯人に迫っていく。
焦点は「怪しいヤツ」。
本作の犯人を予想するとき、
大半の読み手は2人に絞ると思う。
ものスゴく作為的に怪しいヤツと、
ものスゴく作為的に怪しくなさすぎて
むしろ怪しいヤツ。
どっちだ!どっちなんだ!?
ええい、ままよ!
「あるある」に素直にのっとって、
ものすごく作為的に怪しいヤツは除外!
結果は...大当たり!勝ったぜ!
冷静に考えてみる。
...いや、誰と戦っていたのだ。
読書はそもそも戦いですらない。
こんな楽しみ方は「なしなし」だ。
推理モノとの向き合い方を、
思い直すきっかけとなった一冊。
ちなみに本作は、
ミステリーに分類されるらしい...。
そもそも推理モノじゃないじゃん!
2014年10月9日