スマイル書房

『坑夫』 (新潮文庫)
買い取ってやる度
★★★★☆

再読。こんなにおもしろかったんだっけ?

やばすぎる存在感のスタヴローギン、
ピョートルと愉快な5人の仲間たち、
清々しいほどのヒモっぷりが笑いを誘うステパン先生、、、などなど、
登場人物がおもしろすぎた「悪霊」も読み終わりまして、

なんか文字量があんましなくて、
内容がおっかなくないやつを読みたいなあと思って。

でも、
疲れてるとき飲みに出て、新規開拓はちょっとな......と同様の心持ちで、
長編で体力が消耗、再読がちょうどよかろう。
というわけで、10年前読んだきりほったらかしていた、
「坑夫」再読しました。

こんなにおもしろかったっけ??
10年前の自分は何を読んでいたのか。

長蔵、赤毛布、冷飯草履の小僧、揚げ饅頭、
獰猛組の坑夫たち、南京米に南京虫、そしてジャンボー。

さまざまなものに翻弄されながら、
自滅を求めて、シキの中へと下ってゆく"自分"。

坑夫にまで落ちぶれ、
自暴自棄になったあげくに自死を決意した矢先の
地獄に仏の安さんとの出会い。

ここの場面、めっちゃ読み返しました。
安さんの真摯な言葉に、なまら心を打たれまくる......!

都会的でどこか内証的な文体の漱石ですが、
(佐藤が読んだことある作品は、ですが)
これが坑夫たちの描写と合わさって、
漱石っぽくない作品なのに、やっぱし漱石なんですよね。

男がただ山に行って降りてくるだけの話、
特にドラマがあるわけでもないのに、読ませてしまう。
言葉の使い方が本当にうまいなあー(上から目線ですね、スミマセン)と、
改めて感じ入った作品でした。

いくぜ!!

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