かねてから念願だった北海道遺産、
タウシュベツ橋梁のツアーに参加した。
ご存知の向きも多いと思うけれど
北海道遺産に選定された旧国鉄士幌線の
コンクリートアーチ橋梁群のひとつだ。
かつてはタウシュベツという川に架かる橋だったのだけれど
廃線となった今は線路もなく、
橋梁跡だけが糠平湖のダム湖の中にひっそり佇んでいる。
幻の橋梁と言われる所以は
その容貌だけではなく、
湖水の少ない厳寒期の凍結した湖面に姿を現し、
GW辺りには全貌を呈すのだけれど、
水位が上昇する初夏から再び沈み始め、
盛夏から秋には完全に湖底に沈むという変幻さにある。
自分が訪ねたのは6月の終盤。
橋梁は7割方が湖水に呑まれ
惜しくも全貌を望むことはできなかったけれど
風雪と歳月に蝕まれ
ひどく摩耗し
それでもまだ脚を踏ん張り
懸命に腕を張ろうとしている(かのような)
姿には心を打たれた。
朽ちていくものは、
憐れで、儚く、時に惨めにさえ映ることもあるけれど
その裏に同じだけの美しさをも秘めているのだろうね。
手渡されたチラシには
中央部にはことさら大きな欠損があり
橋梁が途切れてしまうのも時間の問題と記してある。
実際に橋梁の「肌」に触れてみると、
コンクリの欠片がいとも簡単にほろりと崩れた。
今この瞬間も冷酷なる時間は
着実に確実にタウシュベツ橋梁を蝕んでいるのだ。
ここまで案内してくれた
現地の若いガイドさんが、
僕の方にゆっくりゆっくり歩み寄ってきた。
そして低くやさしい声で、
ポツリと
「冬の姿も、またグッときますねん」といった。
なんで関西弁やねん... と思った。
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