ブローグ横丁

2016年6月29日 哀愁のタウシュベツ橋梁紀行

かねてから念願だった北海道遺産、
タウシュベツ橋梁のツアーに参加した。


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ご存知の向きも多いと思うけれど
北海道遺産に選定された旧国鉄士幌線の
コンクリートアーチ橋梁群のひとつだ。
かつてはタウシュベツという川に架かる橋だったのだけれど
廃線となった今は線路もなく、
橋梁跡だけが糠平湖のダム湖の中にひっそり佇んでいる。


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幻の橋梁と言われる所以は
その容貌だけではなく、
湖水の少ない厳寒期の凍結した湖面に姿を現し、
GW辺りには全貌を呈すのだけれど、
水位が上昇する初夏から再び沈み始め、
盛夏から秋には完全に湖底に沈むという変幻さにある。


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自分が訪ねたのは6月の終盤。
橋梁は7割方が湖水に呑まれ
惜しくも全貌を望むことはできなかったけれど
風雪と歳月に蝕まれ
ひどく摩耗し
それでもまだ脚を踏ん張り
懸命に腕を張ろうとしている(かのような)
姿には心を打たれた。


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朽ちていくものは、
憐れで、儚く、時に惨めにさえ映ることもあるけれど
その裏に同じだけの美しさをも秘めているのだろうね。


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手渡されたチラシには
中央部にはことさら大きな欠損があり
橋梁が途切れてしまうのも時間の問題と記してある。
実際に橋梁の「肌」に触れてみると、
コンクリの欠片がいとも簡単にほろりと崩れた。
今この瞬間も冷酷なる時間は
着実に確実にタウシュベツ橋梁を蝕んでいるのだ。

ここまで案内してくれた
現地の若いガイドさんが、
僕の方にゆっくりゆっくり歩み寄ってきた。
そして低くやさしい声で、
ポツリと
「冬の姿も、またグッときますねん」といった。


なんで関西弁やねん...  と思った。

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