十年前の夏。
エアコンの壊れた車で当別の山間を走っていると
林の中に傾きかけた茶屋が見えた。
そろりと戸を開けると奥から白髪の爺が現れ、
暑かったろうと麦茶とアイスコーヒーを振舞ってくれた。
何故か唐突にその日のことを思い出し、
たまらず車を走らせてみた。
予想はしていた。
予想はしていたけれど、風雪に晒された茶屋は
無残な廃屋になっていた。
爺もいなかった。
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