シーズの「取材ノート」

アーカイブ

農業

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久世さんが握りこぶしで拓いた牧草地。
豊富で綴った家族の開拓物語の原点でもある。

兵庫県から家族で移住。
始まりは極貧テント生活

国道232号を日本海沿いに北上した。
天塩川を越えると広陵としたサロベツ原野が横たわる。その遠方には利尻富士の勇姿。
牧場や自然林が連なる一帯を抜けると、ほどなくログハウス風の小さな店が現れた。
チーズとジェラートの工房、レティエである。オーナーは、久世薫嗣さん。
その物静かな表情、おだやかな話しぶりからは想像できないが、
実に波瀾万丈な人生を歩まれてきた方と耳にした。


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●取材先
豊富町『工房レティエ』
https://www.facebook.com/hokkaido.letie
久世 薫嗣さん

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羊飼いの作家

牧草地の一角を囲った柵の中に、
羊たちが甲高い声を上げながら群れている。
ほとりには緑に映える深紅の運搬車。
一人の女性が柵を越えて羊に歩み寄る。
一頭の首筋をグッと抑えると、
羊は急におとなしくなり彼女の膝下に横たわった...

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多くの作家を世に送りだしてきた北海道新聞文学賞の作品集。
河﨑秋子さんは『北夷風人』『東陬遺事』の作品で受賞を果たしている。

●取材先
別海町『河﨑牧場』

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ネオンの街から農の世界へ。

札幌はススキノを拠点に、おしゃれなレストランバーや
ユニークな居酒屋を運営する飲食企業だ。
2013年の春、同社は由仁町の農地の一角に、
自社運営農場『タムラナチュラルファーム』を開園した。
華やかなネオン街から、のどかな田園空間へ。
活動の場を広げるタフス社の意図とは何だろう。
晩夏の陽光が降り注ぐ由仁町を目指した。

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●取材先
札幌市『株式会社タフスコーポレーション』
http://www.tfs-co.jp/

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自然と農と自分、
その共存を理解していく

四つん這いになって、雑草を一本一本抜いている子がいる。
足を踏ん張り、大声を上げながら大根を掘り起こしている子がいる。
調理用のニンジンを几帳面に並べるその横で、
土深く埋まったジャガイモの収穫に悪戦苦闘している子がいる。
どの顔も汗と泥まみれて真っ黒。
けれどもその表情は一様に明るく、瞳は楽しそうにキラキラ輝いている。
彼ら彼女らは、札幌新陽高校アグリクラブの生徒たち。
年に数回、当麻町の自らの農場に足を運び、種まき、草取り、収穫などの
農作業に当たっているのだ。

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●取材先
札幌市『札幌新陽高校』
http://www.sapporoshinyo-h.ed.jp/

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滝澤さんご夫婦が営むfu-soraは、
昭和43年に閉校した旧支湧別中学校の校舎。

小麦農家が焼くパンの話。

奥白滝インターで高速道路を降り小さな峠を過ぎると、
緑の山々に囲まれた箱庭のような景観が飛び込んできた。
遠軽町支湧別。谷あいに開けたこの美しい山村に、
滝澤博良さん愛実さん夫妻が営む『パン酵房fu-sora』がある。

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●取材先
遠軽町『パン工房 fu-sora』
http://www.fu-sora.com/

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気軽に参加できる「ハサンベツ里山づくり」と、
栗山の魅力を体感する多彩なプログラム「雨煙別学校」

栗山町のハサンベツ地区に足を運んでみた。
小高い山々の間に、実り豊かな田んぼや畑、せせらぎを響かせる小川、
その向こうには水車や藁葺きの小屋が見える。
手に鎌を持った子どもたちが、歓声を上げながら稲穂を刈っている。
日本の古き良き時代を偲ばせる里山の風景だ。

朱塗りのおしゃれな建物『NPO法人雨煙別学校』。
施設を管理する諸橋淳さんが迎えてくれた。
「ここはハサンベツでの森林体験や農作業のほか、夕張川での川アソビ、
さらに屋内でのクラフトなど、栗山周辺の自然や農業体験の拠点となる施設です」

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●取材先
『栗山町ハサンベツ里山実行委員会』
高橋 慎さん

栗山町『NPO法人雨煙別学校』
諸橋 淳さん

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「さらさらレッド」生みの親の岡本さん(左)と生産を支え続ける吉田さん(右)。

種から商品までを
まるごとマネジメント

街並みがキレイですよね、車窓ごしの風景を眺めながら同行のカメラマンが言う。
栗山駅前通に軒を並べる店たちは、コーディネートされた衣装のようにおしゃれで統一感がある。
クルマは栗山町限定生産のタマネギ『さらさらレッド』の生みの親、
岡本大作さんの研究所を目指していた。
先に訪ねた栗山町役場の担当者が、"栗山農業の元気のシンボルはこれですよ!"と
太鼓判を押してくれたからだ。

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●取材先
栗山町『有限会社植物育種研究所』
岡本 大作さん

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牧場と人と願いをつなぐ、
根室フットパス

根室と聞くと水産業を思い浮かべる人も多いと思う。
だがその実は北海道の酪農業の先駆け地域であり、
西の姉別から落石に至る丘陵地には牧場や牧草地帯が延々と広がっている。
およそ十年前、この牧草地や農場を縦横に縫う『根室フットパス』なるものが整備され、
以来毎年多くの旅人や自然愛好家がこの地を訪れていると聞いた。
平成24年9月、その小径が生まれたいきさつや、
その生みの親である酪農家たちの農スタイルを訪ねるべく、根室へと向かった。

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●取材先
根室市『富岡牧場』『伊藤牧場』『馬場牧場』『小笠原牧場』『村島牧場』

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農と寄り添い
地域と生きる移住者

せり出すように空を覆う山々。その間を縫う国道をひた走る。
道の傍らに見え隠れするのは、渚滑川の清流。
しばらくすると山間の空間が徐々に左右に開き、
道の両脇には牧草地や畑が広がり始める。
カントリーサインには芝桜のイラスト。クルマは滝上町に到着した。
この町に来たのは、三人の移住者に話を伺うためである。
一人は関西の西宮から、ほか二人は東京から。
なぜこの小さな町に移り住んだのか。田舎に生きるとはどういうことなのか。
農に寄り添う暮らしとはいかなるものなのか。
一人ひとりに、じっくり聞いてみたいと思ったのだ。

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●取材先
滝上町『とんたんファーム』
佐々木渉さん、路子さん

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